プロローグ 3 フェンスを飛び越え空を見上げる。 空には月がなくて、星の降ってきそうな夜だった。 星を見ていると、すごく落ち着くの。 まるで、桜ちゃんがわたしを見ていてくれてるようで。 きっと、始めからこうしてればよかったんだよね。 わたしが生まれ落ちた瞬間に、わたしはこうしてるべきだった。 だって、わたしなんかが桜ちゃんになるなんて、絶対に無理だったんだから。 ポロリ、一粒の涙が零れ落ちる。 「「さくら!!!」」 後ろから声が聞こえたけど、わたしはそのまま空を飛んだ。 もう、いいよね。 柚子に戻ってもいいよね。 わたし、いっぱい頑張ったもん。 「絶対、大丈夫だよ。」 あの子の声が聞こえた気がした。 最後にナニカに包まれた気がしたけど、あれはなんだったんだろう。 |