殺されましょう


朝、午前八時。
 家から徒歩十分の学校へとスタスタと一定の速度で歩く。周りは自転車で歩く人やら、友達と歩く人やら。そんな中を一人で歩く。隣には見知らぬ男子生徒。どうでもいいね。

とりあえず学校へと歩く。

 すると、後ろから粘着そうな男のブツブツと呟く声。気持ち悪いと思った。


「美羽ちゃん…」
『は?』


 何故か後ろの男が私の名前を呼んだ。ただのイケメンだった。と思う。世間的には。残念ながら、私の趣味はおじさんなので恋愛感情は持てない。船越◯一郎とかイケメンだよね。水◯豊とか。サスペンス好きですがなにか?火サスとか大好物です。


「なんで美羽ちゃんの隣に男がいるの?俺の美羽ちゃんでしょ?俺とずっとずっと一緒にいたのに。そんな男を選ぶの?俺の彼女なのに?ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ。俺のものだよね?美羽ちゃんは俺のでしょ?俺から離れるの?他の男に媚び売るの?そんな美羽ちゃんにはお仕置きしなくちゃなあ。媚びを売る口はいらないよね?男に触れるその手はいらないよね?俺以外の男の元に行くその足はいらないよね?俺以外を見るその瞳もいらないよね?俺以外に映るその身体もいらないよね?俺が全部バラバラにして俺だけが見るように保存してあげる。美羽ちゃん美羽ちゃん美羽美羽美羽美羽美羽美羽美羽美羽美羽美羽美羽美羽美羽美羽」


 訂正。ただのイケメンじゃない。恐ろしいイケメンだった。イケメンの手には果物ナイフ。それでなにをするつもりなの?とか聞きたいけど、残念ながら、男は使用方法を話してくれた。リアルサスペンスか。あ、もうサスペンスじゃないか。おまえ、実行犯か。

 ザワリ、周りが私とイケメンの周りから五メートル程離れる。ジワジワとイケメンから離れる私。ジワジワと近付く私にイケメン。まるでイタチごっこである。そして、外野は止めてよ。私、死にそう。


「俺とずーっと一緒にいよおね、美羽」

絶対イヤだ。

 そう思った瞬間、男は私に襲いかかって来た。グサリ。私の首に何か冷たいものがあたったと思った時には、私の視界はブラックアウト。

とりあえず、来世はイケメンとヤンデレには近寄らないようにしようって思った。


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