外には行きません


「美羽ー!」
「美羽お姉ちゃん!」
「「外で遊ぼう?」」


 荻野さん宅に長髪イケメンと狼少女ちゃん凸しました。どうしてここに来た。つーか、なんで私の名前知ってんのよ?この二人。私にこんな知り合いはいない。


『どちら様ですか、女の子残して帰ってください。』
「俺だけ?!」
「ゆずきはいちゃダメ?」
『ゆずき…?ゆずき、ゆずき、?』


 あれ?なんかゆずきってフレーズ聞いたことある…?つーか、なにこの長髪イケメン。滅べばいいのに。イケメンなんて嫌いだ。トラウマだ。


「美羽〜わかんないのかー?」
『心当たりが全くないです。つーか、気安く触らないでください。』


 ペシリ、と気安く私の腰を自分の方に引き寄せる長髪イケメンの手をはたき落とす。なんだ、こいつ。マジ恐い。つーか、変態の臭いがする。髪フェチと同じ臭いがする。やだ。関わりたくない。


「ゆずキングのこと忘れちゃったのか?」
『お前か。』


 ゆずキング。みなさん、ゆずキングを覚えてるだろうか。チャット仲間のゆずキング。ストーカー予備軍のゆずキングのことを。まあ、ぶっちゃけ覚えてなくてもいいけどね。


「思い出したか?」
『なんで私の本名知ってんの。そして、なんで荻野さん家に来たの。』
「調べた!」
『やっぱりストーカー予備軍じゃん』


 冷めた瞳で長髪イケメンを睨む。おい、お前警察官なんでしょ?仕事しろよ。どいつもこいつも仕事しないんだから。私を見ろ。しっかり仕事してるぞ。自宅警備員という名の仕事を。あ、荻野宅の周りにはきちんと監視カメラをつけました。方法?夜中にやりましたがなにか?はたからみたら、私、不審者。


「あのね、ステラってゆーの。」
『ステラちゃん、可愛い』
「美羽お姉ちゃんは笑わないの?」
『ステラちゃん…それは言っちゃだーめ』


 コツン、ステラちゃんの頭を小突く。このさい、なんでステラちゃんが私をお姉ちゃん呼びで、私の名前を知ってたかなんてどうでもいいや。ステラちゃん、可愛いもん。そして本当になんで私にはそんな警戒心ないの?


「ステラと俺と美羽でいい家庭を作ろうな!」
『計画犯か、おまえ。』
「あ、美羽お姉ちゃん笑ったー」


 後にステラちゃんと長髪イケメンは言う。長髪イケメンを踏みつける私は、可愛らしい笑顔だったと。

 こんなときだけ、表情筋仕事すんな。

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