落ち着いてません


 変態が凸しました。


「なぁなぁ、俺の部屋に一緒に住まないか?」
『イヤです』
「じゃあ、ちょっとでいいから、その髪舐めさせてくんないか?」
『無理です』
「じゃあ、結婚しようぜ!」
『死んでください』
「またまたぁ〜、このツンデレめ。素直じゃねぇなぁ」


 いや、本当にそう思ってんだよ。そのポジティブ思考爆発しろ。なんて、ガラ悪くなるのもしょうがない。つい数十分前、因幡探偵事務所に到着した私と荻野さん。ぶっちゃけ、あの時帰ればよかったんだよ。荻野さんからの頼みなんてクーリングオフすればよかったんだよ。
 そしたら、この変態野郎に会わなくて済んだのに。滅べや、変態が。


「式はいつにする?」
『やらないですよ。勝手に話進めないでください』
「そうか、美羽は式はやらない派なのか…身内だけなら、いいか?」
『……荻野さん、なんなんですか、この変態。』


 変態野郎にドン引きしてた荻野さんに聞く。ちなみに、助手二人も軽く引いてた。いや、女装の方は別に引いてなかった。ギリィと私を見てた。やめて、女装少年。私は君と敵になるつもりないの。むしろ、友好関係を築きたい。お腹真っ黒な女装少年が敵とか、私の人生終わりだから。


「…すまん。いつもはこんなのじゃないんだが…」
「荻ー!美羽ってすっげぇいい髪質だなぁ!こんなやつ連れてきてくれてありがとなー」
『何故そこで私を縄で縛ろうとしてるの?』
「バッ、これを持って帰らねえとか、髪フェチの名が廃るだろ!」
「ちょっ、因幡さん、それ犯罪だからあああ!!」


 どこからか縄を取り出して、ニコニコと私に近付いてきた変態野郎。やだ、変態がどんどん近付いてくる。と、思ってると、ここでやっと放心してた猫好き助手が凸しました。
内心おっせーよとか思ってるのは乙女の秘密である。
 つーか、マジで私の髪をベロンベロンしてる変態野郎なんなの?とても気持ち悪いよ?


「へー、美羽がノアの探してるねーちゃんなのか。」
『……は?』


 ちょっとそのカミングアウト待って。





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