君に捧げた唄
ピ、ピ、ピ、という独特の機会音と、ツンと鼻につく薬品の匂いで目が覚めた。
でも、光は見えない。ただ暗闇だけが眼下に広がる。
「目が覚めたか…」
『くうじょうじょうたろう…?』
耳に響くテノールの声。
それはわたしを安心させてくれた声と同じで、
でも、見えない。誰の顔も見えないの。
『みえなく、なっちゃった』
わたしがこぼした涙は、包帯に染み込んでいった。
Side.JOJO
ああ、またか。
一人でこいつは抱え込む。
ンドゥールに目をやられた時、俺はこいつを守れなかった。
血の涙をこぼす利麻を俺は見てられなかった。辛そうに、顔を歪めるこの女を。
いまだって、笑いながら涙を流す女が見てられない。
白い包帯に、利麻が流した涙が染みを作る。
俺は、こいつを護れなかった。
それでも、涙を流す利麻を愛おしく想う気持ちがある。
まるで壊れモノを扱うように、俺は利麻を抱き締めた。
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