すべては筋書き通り
物語は変わらないんだよ。
だって、世界は運命に沿って動いてるんだって。
神様がこの世界の台本を書いて、わたしたちはそれに筋書き通り沿ってるだけ。
そう、誰かが言ってた気がする。
エジプトに向かって、わたしたちは進む。
ジョセフさんとアヴドゥルさんとポルナレフさんと、空条くん。それから花京院。
それは物語の通りなんだよ。
わたし以外。花京院であるわたしは、本当の花京院じゃないから。
わたしが花京院典明ならよかった。そしたら、物語と全く同じだから。男だったらよかった。そしたら、名前が違くても、わたしは典明として生きれたから。《わたし》という存在を消して、典明として生きてけたのに。
ああ、でも、
「…花京院、無理するな。」
『っ、』
「てめぇは女だろうが。」
砂漠を歩いてると、彼が優しくわたしの頭を撫でる。
苦しい。締め付けられるように胸が苦しい。なんでか、なんて。そんなのわかってる。わたしは、よりにもよって、空条承太郎に抱いてはいけない想いを抱いてしまったから。
抱くはずのない、恋心。
それを抱いてしまったわたし。
それはとても悪いこと。典明を裏切る行為。
『…わたしを女扱いしないでください』
優しくしないで。女として見ないで。
その優しさに溺れてしまいそうになるから。
縋って縋って、愛を叫びたくなってしまうから。
わたしは罪を犯した最低な女。
女として生きるなんて、赦されるはずないもの。
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