寂しくはないのか
腕の中で、いまだに泣きじゃくっている花京院と名乗った女のことを考える。
俺を殺しに来たスタンド使い。
そのくせやることは中途半端だったな、この女。
男の制服を着て、俺の前に現れたから最初は男だと思った。とっ捕まえて、肉の芽取ったら気絶しやがったから、着替えさせようと思ったら女だしよ。
…最初に、俺のもとに来たとき、この女は確かに泣いてた。
涙を溢しながら、俺に笑いかけた。
その表情が忘れられねぇ。
何もかも諦めたような顔をして、ただ、笑った。
『め、なさ…』
「っ、」
なにに謝ってんのかなんて知らねぇ。
だが、絞り出すように出されるその声は、
護りたいと思う。
初めて感じた気持ちだった。
女は煩わしいモンだった。
だが、俺は今腕の中にいるこの女を護りたいと思った。
笑っていて、ほしいと。
「(やれやれだぜ)」
初めて感じるこの気持ちの正体に気が付きながら、俺は女の頭を撫で続けた。
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