大きな音がその場に響く。
「っ、」
「クッ…」
クソッ!なんてことだ!
思わずカッとなってしまった…
このディオともあろう者が、たかが女ごときに!
バギ、木の枝がそんな音を立てて折れる。
腹立たしいやつらだ。
姉さんの周りをうろちょろと。男女の友情だと?そんなものあるわけがないッ!
ジョジョには恋人も友人も作らせはしない。ましてや、姉さんとなんて結ばれるわけがない。
姉さんはこのディオと結ばれるのだからッ!
なぁ、姉さん。
姉さんにも恋人も友人も作らせはしないさ。姉さんにはこのディオだけいればいいのだから。
姉さんを自分のモノにしようとするやつがいるなら、殺してやる。もちろん、姉さんには迷惑をかけない。誰にもバレないように殺すのだから。
幼い頃、姉さんを犯そうとしたやつらを自分の手で始末したことを思い出して、ニヤリと嗤った。
「姉さん」
『ん?ディオ?どうしたの?』
「姉さんの作ったものが食べたいんだ。…作ってくれるかい?」
『ふふ、もちろん!ディオは可愛い!』
その可愛い可愛い弟がなにをしてきたのかも知らず、姉さんは無邪気に笑う。
姉さん、僕は今日、姉さんの一番の友達にキスをしてきたよ。姉さんから離すために。姉さん以外の人とのキスなんて気持ち悪い。だが、姉さんのためなんだ。わかってくれるだろ?すべてすべて、姉さんのため。
姉さんをこのディオのモノにするため。
ニコニコ笑いながら、料理を作り始める姉さんをジッと見つめる。
「姉さん、姉さんはなにがあっても、僕から一生離れたりしないよね?」
『当たり前でしょ?わたしとディオは血の繋がった大切な家族だもん。ね?』
「ああ」
姉さん、その言葉を忘れるなよ。
僕から一生離れないと言ったその言葉。
それはサクラを縛る鎖となる。