私の宝物。お父さんから買ってもらったお人形。お気に入りの水色のドレス。キラキラ光る小さな宝石。
それから最近出来た私の大切な友達。
一人はジョジョ。男の子だけどとても優しくて、私の親友のような友達。きっかけは、男の子に泣かされていた私をジョジョが助けてくれたこと。
もう一人はサクラ。初めてサクラと会ったとき、サクラの髪がキラキラと川辺に反射して、まるで、妖精がそこにいるようだった。サクラはすごく優しかった。それでもって、とっても綺麗だった。
…本当はね?私サクラのことが好き。
サクラといると心がフワフワして、もっと一緒にいたい、ずっと一緒にいたいって思うもの。女の子なのにこんなこと思うのはいけないこと。だから、私は自分の心を誰にも言わないことにしたの。
私の親友と、私の好きな人が一緒になるなんて素敵じゃない?
私とサクラは一緒になれないけど、ジョジョはサクラと一緒になれる。サクラはきっと、ジョジョのことが好き。隠しているけど、ずっと見てればイヤでも気付く。
「サクラ…」
木の幹に彫られたハートの中にあるサクラとジョジョの名前。これはジョジョが彫ったもの。それをゆっくりとなぞる。私の大切な人たち。彼らが幸せであればいい。
脳裏に浮かぶのはサクラの優しい笑み。
好きよ、好き。けれど、私は女だから。
私が男だったら、よかったのにね。
でもね、女である私だからこそ、私はサクラとずっと一緒にいられる。ジョジョには悪いけど、サクラの隣りをジョジョだけに独り占めさせないわ。
だってサクラの一番の友達は私だから。
三人でずっと一緒にいられることを、私は望むわ。
「やあ!君…エリナって名なのかい?」
あぁ、だから、だから、どうか私たちの邪魔はしないで。
彼にキスをされなが、脳裏に浮かぶのは彼らのこと。ジョジョはきっと、私のために怒ってくれる。そういう人だから。サクラはきっと、私から離れて行くでしょう。自分の弟のした罪を背負って。
ただ、三人でずっと一緒にいたいだけなのに。
それは難しいことなのかもしれない。