午後。はあ、とため息を一つ吐いてから、自分の手の中にあるハンカチをどうしようかなあ、とか思いながら見つめる。
三日前からジョジョとは顔を合わせてない。食事の時も、恥ずかし過ぎて、顔を合わせられなかった。うわあああ、なんでわたしってば、あんなはしたないことやっちゃったんだろう。もう、恥ずかし過ぎるうう。
今、ジョジョと会ったら、絶対顔赤くなる。歳上として、そんな威厳のない行為はできないよねぇ。

でも、エリナとの約束…


『よしっ!』


顔をパーンッと叩いて喝をいれると、わたしはジョジョのもとへ向かうことにした。





執事たちやらメイドさんたちやらに聞いた話では、ジョジョは小川の近くにいるそうだったので、サクラちゃん、勇気を出してここまで来た。心臓ドキドキやばあ。
いや、でも、エリナとジョジョがラブラブにならないと、ね。うん。そのためにも、このハンカチは必須アイテム!…だった気がする。うろ覚えだなあ、わたしの記憶。


『あ、ジョ…』


ジョジョを見つけて、近寄ろうとした。けど、手を伸ばして、止まる。


「あ、サクラ?」
『…エリナ?』


ジョジョの隣にはエリナ。あれ?ハンカチがなくてもいいんだ。やだ、わたしってば勘違いしちゃった。


「サクラ…?ど、どうしたの?」
『…あ、ジョジョにエリナから頼まれてたハンカチ忘れてて。ごめんね、エリナ、ジョジョ。』
「ふふ、大丈夫よ。」
「そうだ!サクラも一緒に遊ばない?」
『ありがとう。…わたし、ちょっと用事があるから帰るね。』


にっこり笑いながら、そう言って断る。二人の返事を聞かずに、ジョジョにハンカチを渡すと、走ってその場を離れた。

後ろから呼び止める声には答えなかった。


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