土の中に埋まった父親を冷めた瞳で見る。
わたしを犯そうとした父に、なんの未練もない。けど、
チラリ、隣りにいるディオを見る。ディオの瞳はやっぱり冷たくて、まるでゴミでも見るような目。
そんなディオに、守らなくちゃって気持ちでいっぱいになる。たとえ、ディオが殺人を犯しても、ディオはわたしの大切な弟だから。守らなくちゃいけないなあ、なんて。
父さんの墓の前でボーッとしてると、わたしとディオ以外の人がやってきた。
「サクラ・ブランドー様とディオ・ブランドー様ですね?」
『ぁ、はい。』「そうだ。」
「ジョースター家の使いの者です。お迎えにあがりました。」
人の良さそうな顔と裕福そうな見た目のその人に、わたしはゆっくりと微笑んだ。
十六歳の冬の日のことでした。
ディオSide
アイツの墓を見てもなにも感じない。
当たり前だろうな、僕が殺したんだから。
姉さんは気付いただろうか。
このディオが自分の父親を殺したことに。
…いや、気付いても姉さんは僕を売るような真似絶対しない。
姉さんは僕とアイツだったら、僕を取るに決まってるからな。
姉さんは、サクラは僕のものだ。ジョースター家の財産はこのディオが貰う。そして、サクラと二人っきりで過ごそう。子どもも欲しいな。サクラとの子なら、愛せるかもしれない。
ああ、サクラサクラサクラ。
愛してる愛してる。
アイシテル、サクラ。
父親だった男の墓に唾を吐いてから、姉さんの後を追った。