わたしが叫ぶと、父親が身体に電気が走ったようにビクビクと痙攣して倒れる。
『へ?』
思わず、間抜けな声を出してしまうのもご愛顧。だって、わたしの手からなんかビリビリ電気的なのが出てるんだもん。混乱するわ。
なんか怖くなって、グッと拳を握ったり、パーにしたりしてみる。けど、なんの痛みもないし、むしろ暖かくて気持ちいい。
『…もしかして、波紋?』
あれ?でも、波紋って呼吸がちゃんとしてないとダメなんじゃないっけ?てゆか、そもそもなんでわたしがこんなことできんの?とか、グルグルと考える。
たしか、波紋の呼吸って一秒間に十回やらなくちゃいけないとかだよね?
『うん!やろ!』
なんでか知らないけど、波紋エネルギーがわたしの身体の中にあるんだから、使わない手はないよね!修行方法なら、リサリサのを少しだけ覚えてるし、ツェペリさんのはほとんど覚えてる。
よし、出来る!
グッと拳を高くあげて決心した時だった。ガチャリと家の扉が開いた。
「ただい…、姉さん?!」
『え?』
「何故、姉さんが半裸なんだッ!」
ディオにそう言われて、自分の身体を見る。
あ、わたしってば、父親に服破かれたんだっけ。胸はほぼ丸見え。下着も見えそうに乱れてる。犯されそうになりました、みたいな格好。
『えっと、』
「こいつがやったのか…、」
『まあ、うん。でも、ほら!未遂だから大丈夫だよ!』
にっこりと父親を睨むディオに微笑む。
最近、ディオがわたしのことお姉ちゃんって呼んでくれなくてさみしい。なんか大人っぽい口調になってきたし。なんて、見当違いのことを考える。てか、考えなくちゃやっていけない。
「無理、するな。僕は姉さんを守りたいんだ…」
『ディ、オ…』
「すまない…!僕がいたら、姉さんはこんなことにならなかったというのに…!」
ディオにギュッと抱き締められると、今更になって、身体の震えが出てくる。
ガタガタガタ。
本当は恐かった。あんなのでも血の繋がった父親だから。父親に犯されそうになるなんて、どこの漫画の世界だよ。って、ここが漫画の世界でした。
『ごめんね、ディオ。少しだけ泣かせて。』
「……」
黙って、わたしを抱き締めてくれるディオに感謝。
知らない男に襲われても、泣かなかった。けど、やっぱり実の父親は辛いなぁ。
『ふくっ、うぇ、んん…』
静かな部屋の中、わたしの嗚咽だけが響いてた。