苦しい、苦しい。
誰かが私を責めるの。

真っ暗な世界の中でぽつんと私だけが立っている。

そばには誰もいない。
誰も、誰もいなくて私だけ。

真っ暗な世界で私だけがいる。

さみしい、さみしいよ。

ぽろぽろぽろぽろ。

涙が零れるけどだぁれも気づいてくれない。


『っ、ぁ、』


声が出ない。
助けて。助けて。
何かが詰まっていて叫べない。しゃべれない。


インプモン…マリンエンジェモン…
助けて、お願いだから

私は“軌跡”の紋章を持つ選ばれし子ども。

でも、その“軌跡”に私はいないの。

その“軌跡”の中にいるのは太一とヤマトと空と光子郎とミミ、丈さんにタケルくん、ヒカリちゃんだけなの。


私は、いない。
どこにもいない。


じゃあ、最初から私はいなければいい。
見てるだけ。見てるだけ。それでいいから。

でも本当はさみしくて、苦しくて、

どうすればいいかわからなかった。
ううん。今でも分からない。


そうだよ。
真っ暗な世界を出ても、私を待ってる人なんて私が必要な人なんていない。
インプモンとマリンエンジェモンに必要なのは私じゃない泉奈留。
だって私は泉奈留じゃなかったんだから。


私は、私はー…


ふらふら真っ暗な世界を漂う。
私はいらない。いてもいなくてもいい存在。
最初から期待しない。期待しなければ傷つかないから。

ぽろぽろぽろぽろ涙が零れる。


『こんなとこ、こなければよかった。』

mae ato
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