ヤマトSide

夜中に目が覚めた俺と光子郎はタグが光ったことによって近くに俺たちの紋章があることが分かった。

光子郎と一緒に無言で夜の森を歩く。


「なぁ、光子郎」
「なんですか?」
「光子郎って奈留のこと好きなのか?」


俺の言葉に今まで前を向いていた光子郎が俺の目を見た。
その目はいつも冷静な光子郎じゃなく俺を咎めるようなそんな目だった。


「……なんでですか。」
「いや、」
「まあいいですけど。…僕はヤマトさんにも太一さんにも姉さんを渡すつもりはありませんから。」


そう言う光子郎の目は真っ暗で。
今の俺の目もそんななのかと他人事のように思った。

俺は奈留が好きだし、愛してるって言ってもおかしくない。
母さんと父さんが離婚した時に何も言わず俺のそばにずっといてくれた。
その時から奈留が好きだ。
一緒に居て安心をくれる。俺の心にぬくもりをくれる。

だからこそ俺は、


「ヤマトさん!あそこに紋章が!」


光子郎の声にはっとして前を見る。
そこはもう結界の外で出ても大丈夫かと不安になった。


「結界の外だぞ?本当に行くのか?」
「あたりまえです!」


光子郎の言葉に不安になりながらも頷いて二人で紋章があると思われる井戸の元まで走る。
井戸の中に入ると周りの壁が光り出した。


「光子郎、壁だ!壁にタグをかざせ!」
「は、はい!」


タグをかざした瞬間に紋章がタグに収まる。
あぁ、これで奈留に近づける。

強くなりたい。強くなれば、奈留もタケルも守れる。奈留に逢える。
そんな確証のないことを信じてるんだ。俺は。


「よし、出るぞ!」
「はい!」


外に出て見たものは、赤い恐竜のようなデジモンが二匹と桃色の羽根が生えたデジモンの姿だった。

mae ato
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