太一Side
グレイモンがスカルグレイモンに進化した。
俺が、俺のせい、で。
みんなに攻撃するスカルグレイモンをただ茫然と見てるだけしかできない。
こんなときに奈留だったらなんて言ってくれんだろう。
小さい頃から好きな俺の………
▽▲
『太一?どうしたの?』
「どうしよう…奈留……ヒカリが…」
『ヒカリちゃんがどうかしたの?』
俺が風邪を引いてたヒカリを無理矢理外に遊びに出したせいでヒカリは死んじゃうかもしれない。
俺がちゃんとヒカリを見てないから。
自分のことだけしか考えてなかったから。
『大丈夫、大丈夫だよ。』
「っ!なんで、そんな簡単に言えるんだよ!死んだらどうすんだよ!」
奈留の簡単に大丈夫という言葉にイライラした。
だって、ヒカリは弱いんだ。大丈夫じゃなかったんだ!
俺の言葉に最初驚くように目を開いていた奈留は俺を叩いた。
叩いたっていってもぺちっていう効果音がしそうなくらい軽く。
『あのねぇ、太一がヒカリちゃんは大丈夫だーって信じないとヒカリちゃんは大丈夫じゃなくなっちゃうかもしれないよ?太一はヒカリちゃん大好きでしょ?だからヒカリちゃんを信じてあげて』
「ヒカリを、信じる…?」
『そうだよ。ヒカリちゃんは大丈夫。』
奈留はそう言って小さな身体で俺を抱きしめる。
そのぬくもりに安心して、俺は奈留の腕の中で大泣きしたんだ。
そんな俺の背中をぽんぽん摩りながらヒカリちゃんは大丈夫、大丈夫だよ、と言ってくれる奈留は俺の中でとても大きな存在になった。
▲▽
『オーシャンラブ!』
そんな過去に浸っていると声がした。
声のしたコロシアムの方へ顔を向けると一匹のデジモンがスカルグレイモンに向けて何か雨のようなものを放っていた。
「コロモン!」
「たいちぃ……」
その雨のような何かを受けたとたんにスカルグレイモンはコロモンに退化する。
コロモンを抱き上げればコロモンは泣きそうに俺の名前を呼ぶ。
ごめん、ごめん。俺が、俺のせいで、
「みんなにひどいこと、したみたい……ごめんね…、自分じゃ、どうにもならなかったんだ…」
そんなふうに自分のことを悪く言うコロモンに泣きそうになる。
みんながコロモンを励ますように明るく気にしてない、大丈夫そんなことを言う。
「みんなの期待に応えられなかった……」
「違う!お前が悪いんじゃない!悪いのは…」
わかってる。悪いのはコロモンでもなければみんなでもない。
「悪いのは俺なんだ…焦って、なんでも一人で出来る気になってたんだ……ごめん、コロモン、ごめん、みんな…、」
「たいちぃ…」
なんでだろう、おれ、わかんねぇよ。
奈留に会いたい。会って話し聞いてほしい。
俺のこと抱きしめてほしい。
「どうすれば、いいんだよ…」
誰か助けてくれ…
『ごめんね、太一』
奈留の声が聞こえた気がした。