トコモンSide

お姉さんとインプモンとマリンエンジェモンはとっても優しくて、お腹が空いてる僕たちに美味しいご飯もくれた。
それに、とっても楽しいお話も聞かせてくれて僕はお姉さんたちが大好きになった。

そんなふうに話している間に夜が明けてきた。


『…ん、もうそろそろ朝だね。』
「ほんとだ!お姉さんも一緒に旅するの?」


お姉さんは僕の言葉に口に人差し指を持ってきてにっこり笑う。


『まだだよ。』
「まだ…?」


なんでまだなんだろう?
みんなは優しいからお姉さんのことも受け入れてくれるはずなのに。

僕がそう伝えるとお姉さんは考えるように間を置いてから話しゆっくりと諭すように話し始めた。


『あのね私も出来れば早く合流出来ればいいんだけど、まだ駄目なの。でもね、君たちが全ての紋章を集めたら私は君たちと旅が出来るんだよ。』
「もんしょう?」
『そう。…うん、もうそろそろアグモンくんが助けに来てくれるよ。みんなには私のこと秘密だよ?』


お姉さんはそう言いながら、クスクス笑って僕の頭を撫でる。


『もしも、言いたくてしょうがなくなったら、うーん…あ、タケルくんになら言ってもいいよ。でも、それ以外の人たちには絶対秘密。もし言ったら…』
「も、もし言ったら…?」


ごくり、唾を飲みながら続きを促す。


『みんなと旅出来なくなっちゃうからね。』
「わ、分かった!僕、絶対言わない!」


お姉さんと一緒にいられなくなるのはいやだと思って大袈裟に顔を縦に動かす。

優しくて、あったかいお姉さん。
会ったことはないけど、まるでお母さんみたい。


『ふふ、いい子いい子。あ、聞こえてきたでしょ?アグモンくんの声。』
「あ…ほんとだ!」


耳を澄ますとアグモンの声がする。
そのことにコロモンと一緒に喜ぶ。


「奈留、そろそろ行くぞ。」
『了解!じゃあ、トコモン。みんなによろしくね。トコモンは強い子だからすぐに紋章を集められるからね。またね。じゃ、インプモン進化よろしく!』


お姉さんはインプモンにそう言うとインプモンの進化した姿に抱かれてマリンエンジェモンと一緒に飛んでいってしまった。

早く紋章集めてお姉さんと旅したいな。
あ、タケルにだけは教えてあげよう!

お姉さんがいなくなったあと、お姉さんの言った通りすぐにアグモンは来てくれて僕たちを助けてくれた。


今度会う時は、お姉さんの名前を教えてもらえますよーに。

小さく、そんなお願いごとをした。



mae ato
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