あのね。
私が泉奈留に生まれる前、私は泉奈留じゃなかったの。
じゃあ、なんて名前なんだーって言われても困るんだけどね。
だって、名前は靄がかかったように思い出せないから。
まあ、それでその世界にはデジモンアドベンチャーってアニメがあって、それがこの世界を元にしたアニメ。あ、ゲームもあったよ。
私はその話が大好きだったの。
だからね、じつを言うとこの世界に来たって気付いた時は嬉しかったんだよ。
でも、同時に恐かった。
そのアニメには泉奈留がいなかったから。
選ばれし子どもの中に泉奈留なんていなかったんだよ。
でも実際、私は選ばれし子どもたちの一人で、それに他の選ばれし子どもたちとは違う。
だからね、私はあの子たちに干渉しなかった。怖かったから。
私がいることで、私の知らない世界になっちゃうことが。
でも、あの子たちを見てたら気付いたの。
私も一つのことを頑張ってみたいって。
私も物語の登場人物になってみたいって。
だからね、二人には私に協力して欲しいの。
『お願いします』
すべてを吐き出した後で私は立ち上がってそうお願いした。
なんだろ、恐くて顔あげらんないよう。
「ばーか。」
『インプモン…?』
少しの沈黙の後でインプモンの言葉が響く。
私がそれに顔をあげるとインプモンに叩かれた。
『痛い…』
「あのねぇ、僕たちは奈留が何か隠し事してるの気づいてたよ!でも、僕たちは奈留が大好きだからずーーーーっと一緒にいたんだよ?だから、そんなの今さらみたいな!」
「マリンエンジェモンの言う通りだ。」
『うぅ…な、なんだよぅ。二人とも大好きなのよーー!!』
変な口調になったけど気にしない!
私は二人をぎゅっと抱きしめて愛を叫んだ。
『あ、でも当分はあの子たちの前に姿は見せないからね。』
「?なんでーみたいなぁ?」
『なぜなら!バレたあとがめんどくさいからだよん!』
「お前はアホかぁぁぁああああああ!!」
「『インプモン、ナイスツッコミ!』」
「お前らなぁぁぁあああ!!」
インプモンのツッコミが大好きな私とマリンエンジェモンだよ!(キラッ