「領主様…!領主様ーー!」
『うるさいブタ。プーデル、だっけ?お前、わたしのモルジアナに手ぇ出したんだって?死ねよ。』


ギロリとデブの男を睨みつける。
すると竦みあがり土下座までする男にため息が零れる。

こんなカス、どうでもいい。

だって、こいつの言ってきたことは、終わりの合図だから。
わたしの死ぬ時が迫ってる。


『モルジアナ、ゴルタス。行くよ。』


土下座した男の頭を踏み付けると、わたしは屋敷を出た。

さようなら。もうわたしは戻らない。
この世界には戻れない。


『あぁ、行く前に言っておくね。』


ジッと二人がわたしを見る。
だから、わたしはあえて笑顔を零した。
とびっきりの笑顔を。


『迷宮に入ったら、わたしの命令を聞いてね。わたしの命令は絶対。逆らうことは許さない。』
「はい…」「……」


頷いた二人に笑いながら、わたしは自分の死に場所に向かった。

死ぬのは恐い。
けど、モルジアナを解放するためだから。

恐くないよ。
モルジアナのためなんだから。





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