ガタガタガタ、迷宮が揺れる。
王はアリババ・サルージャ。

彼が王になったら、きっとモルジアナやゴルタスのような奴隷は減る。
モルジアナが笑って、ゴルタスが微笑む。
そんな世の中がくる。

その光り輝く世界の中に、わたしはいないけど。


「お主は行かないのか!」


アモンの声が響く。
わたし以外の人間はみんなアモンの開いた扉に乗った。

あとはわたしだけ。
でも、わたしは乗らない。

ここで、死ぬ。


「ラミア様!」
『モルジアナ、』


アモンが迷宮の扉を開いた。
外に出る、最後のチャンス。


『ゴルタス、早く行って。』
「……」
『君に、権利はないよ。』


わたしの言葉に首を振るゴルタスに冷たく言い放つ。

もう、終わり。

そんな言葉がわたしの頭の中に響く。


『モルジアナ、ゴルタス。早く帰れ。』
「や…、」
『早く!!!』


耳を塞いで、蹲る。
ここはわたしの死に場所だから。

終わる、終わるんだ。
わたしのこれまでが、終わるの。


「いや、です。」
『モルジアナ。言ったよね?わたしの命令は絶対だって。』
「!」

『わたしのために生きろ。』


それがわたしの最後の命令。


光がわたしを包んだ。





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