物語が急速に終わりへと向かっていく。 それはわたしの死も意味してて。 『アリババくん。』 「っ、あ、あんた…!」 『嘘を教えるなんて酷いなあ。』 だから、わたしは道化になろう。 《ジャミル》という悪役に。 人の人生を狂わせた、最低な人間に。 『おかげでさあ、大変だったんだよ?二人とも役立たずだし。』 「ラミア、さま…?」 『ふんっ!モルジアナうるさい。青いマギを逃がしたくせに!この役立たず!』 ウソ。 本当は役立たずだなんて思ってない。 だって、二人はわたしの大切な人間だから。 でも、だからこそ。 わたしは二人を突き放す。 『お前らなんかイラナイ。』 どうか、どうか。 わたしという《悪役》を倒して、先に進んで。 そして、幸せになって。 「……お姉さんのルフは、とてもさみしそうだね。」 『っ、』 「それにとても決意に溢れていて、なんだか悲しそうだよ。」 バッと後ろを振り向く。 そこには青いマギがにっこりと笑いながら立っていた。 パキン、わたしが彼から奪った金の笛が音を立てた気がした。 |