迷宮に入ってすぐに火を燃やす。 油も持ってきたから、アリみたいな生物は簡単に殺せた。 『あぁ、ここにいたんだ。』 「あんた…!」 小さな横穴にいた彼らに目を細める。 金色の髪をした彼と青っぽい髪をした彼。 わたしのモルジアナを連れて行く人たち。 『二人とも、来てもらうよ。君たちは…、』 「……?」 『大切な、人たちだから。』 わたしからモルジアナを解放してくれるんだ。 それが悔しくて哀しくて辛いけど、わたしの望んだことでもあって、運命だから。 わたしは無理矢理笑みを見せた。 ▼ 『…ここが。』 「宝物庫への道、ッスかね?」 龍の顔をした道。 わたしの死への道。 石板のようなモノを手でなぞりながら、わたしは微笑む。 あぁ、早く終わりにして。 『トラン語。ねえ、君。読めるでしょ?』 「へっ?」 『読んでよ。』 彼にニコリと微笑む。 ねぇ、読めるでしょ? アリババ・サルージャ王子。 早く嘘を教えておくれ。 わたしはそれを信じるから。 それが、わたしの役目だから。 |