迷宮に入ってすぐに火を燃やす。
油も持ってきたから、アリみたいな生物は簡単に殺せた。


『あぁ、ここにいたんだ。』
「あんた…!」


小さな横穴にいた彼らに目を細める。
金色の髪をした彼と青っぽい髪をした彼。

わたしのモルジアナを連れて行く人たち。


『二人とも、来てもらうよ。君たちは…、』
「……?」
『大切な、人たちだから。』


わたしからモルジアナを解放してくれるんだ。
それが悔しくて哀しくて辛いけど、わたしの望んだことでもあって、運命だから。

わたしは無理矢理笑みを見せた。





『…ここが。』
「宝物庫への道、ッスかね?」


龍の顔をした道。
わたしの死への道。

石板のようなモノを手でなぞりながら、わたしは微笑む。

あぁ、早く終わりにして。


『トラン語。ねえ、君。読めるでしょ?』
「へっ?」
『読んでよ。』


彼にニコリと微笑む。

ねぇ、読めるでしょ?
アリババ・サルージャ王子。

早く嘘を教えておくれ。
わたしはそれを信じるから。

それが、わたしの役目だから。






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