26
あれから四日。
何故か私は神官付きの侍女として働いてます。ちなみに、神官ってジュダルくんのことね。
で、私が助けた子は、何故か私の補佐。
まだ小さいのに…
『プリムラ、大丈夫?』
「…(こくん)」
私の言葉にコクリと頷いたプリムラの頭を撫でる。
助けた子の名前はプリムラ。
プリムラって花あったよね。
確か、花言葉は運命を開くだった気がする。
すごく素敵な名前。
「あのね、呼んでた…」
『ふふ、教えてくれてありがとう。プリムラも行こうね。』
「うん」
あまり口数の少ないこの子の言葉も、はじめはわからなかったけど今はきちんと分かる。
とっても可愛らしい男の子。
アラジンの小さいときを思い出して、目を細める。
『ふふ、アラジンとウーゴくんに逢わせたいなあ』
「ぼくも、あいたい…な」
『そのためには頑張ってお仕事しようね。』
「がんばる…」
ジュダルくんの保護者?の方曰く、ちゃんと仕事してくれれば、私たちにも給料はくれるらしい。よかった。お金ないと、チーシャンにいけないから。
「花!」
『神官さま、どうかしましたか?』
「……なんで、そんな呼び方なんだよ」
『今は仕事中ですから。』
にっこりとジュダルくんにそう言う。
嫌われてはないのは嬉しいけど、神官と侍女の距離が近かったら、ダメでしょうに。
「なあ、それで結局どうなんだよ?」
『?どうって…なにがですか?』
ジュダルくんに渡す資料を渡し終わると言われた言葉に首を傾げる。
あれ?私、ジュダルくんになにか言ったっけ?
「だーかーらー!異世界から来たんだろ?おまえ」
『!?』
「あ、別に誰には言わねーよ」
『……え、っと、』
「おまえさ、わかりやすいよな」
悪戯が成功したようにニヤリと笑うジュダルくんに、ダラダラと冷や汗が止まらない。
えっと、バレてる?バレてるの?
私、変なことはしてないと思うんだけど…
『な、なんでそう思ったの?』
「おまえのルフが俺らとちげーし、アル・サーメンのやつらも言ってたからな」
『…アル、サーメン?』
「俺とよくいる顔隠したやつら」
ジュダルくんの言葉によりいっそう不安が増す。
それって、いろんな人が異世界のこと知ってるってことだよね?そうだよね?
どうしよう、ウーゴくんに言っちゃダメって言われてたのに。
『…ジュダルくんは、』
「別に変な心配しなくていいと思うぜ?おまえのこと、殺したり解剖したりはしないからな」
『よ、よかった…』
殺されたり、解剖されたりしないのはよかったけど、これからがとっても心配になった今日この頃。
「おねえちゃん、いせかいってなあに…?」
「……こいつがいるの忘れてた」
『ジュダルくん…』
首を傾げたプリムラに、どう説明しようか頭を捻らせた。
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