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混乱しつつも、平静を保とうと深呼吸。
『えっと、紅炎さ、ま?』
「なんだ?」
『私はどうしてここに?』
コテリ、首を傾げてそう聞く。
ちなみに私の腕の中ではいまだに、助けた子がぐっすりスヤスヤ寝ています。
「……その奴隷はどうするつもりだ」
聞いたはずなのに、逆に聞かれてしまった。
紅炎さまの目線の先にはスヤスヤと眠ってる子。
可愛らしい寝顔に思わず笑みが零れる。そして庇護欲。私がこの子を護りたい。
そういえば、アラジンにも同じことを思ったっけ。
『お金…少しだけなら、あります。それでこの子を買うことはできないでしょうか…?』
「おまえはすべての奴隷を解放する気か?その奴隷だけを解放しても意味はない。」
厳しい言葉。
視線を紅炎さまに戻して、ジッと見つめる。
確かにそう。
私だけが奴隷解放を掲げても、きっとそれは意味のないこと。
でも、それでも、
『この子の幸せを祈ることはおかしなことでしょうか…』
「…俺も奴隷は好きじゃない」
『……へ?』
「気に入った」
『え?』
「ジュダル、この女がここにいることを許そう」
『は?』
なんだか本当にトントン拍子に事が進んでない?
「よっしゃ!よろしくな、花!」
『えっと、ジュダルくん?』
「おまえ、今日から俺のな!」
『あれ?』
私が不思議存在だからかな。
ジュダルくんの笑顔が眩しいです。
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