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「お前、馬鹿じゃねーの!」
『えっと…』
強盗たちから助かったあと、知らない男の人の腕の中で気絶してしまったらしい私。
そして目が覚めたら、黒い男の子が私に馬乗りになってて、何故か怒鳴られた。
あれ?なんで?
「もう俺19だぜ?幼くなんかねーよ!」
『?私から見ればまだ子どもだよ?』
「っっ!!おま、お前も同じくらいだろ?!」
『あらまあ。』
すっかり忘れてた。私の今の身体、二十歳くらいだったんだった。
聖宮にいた時は、私の本当の年齢でお祝いしてもらってたから、忘れちゃってたや。32って、もう年だよねえ。行き遅れってやつかなあ。
「おねえちゃん…?」
『ん?』
起き上がって、黒い男の子にごめんねと謝っていると、私の腰にしがみついてた何かがしゃべり出した。
『あ、』
「よかった…」
『ふふ、私も君が無事でよかった。』
そこには私が助けた子。
無事だったことにホッとして、その子の頭をゆっくり撫でる。
すると、その子は相当疲れてたのか、私の服をギュッと掴んだまま、私の膝の上で眠ってしまった。
なにこの子、可愛い!
膝の上で寝てしまった子をグリグリと可愛がりたい気持ちを抑えながら、黒い男の子を見る。
『ありがとう。』
「別に…」
『私、花って言うの。よろしくね』
黒い男の子ににっこり笑ってお礼を言うと、目を逸らされた。とりあえず、名前だけでも名乗っておく。
本当は雲母花なんだけど、ウーゴくんには苗字を言うことを禁止されてる。ウーゴくん曰く「花が異世界から来たのがバレたら危ないから」らしい。
うーん。それにしたって、ここはどこなんだろう。
『ね、黒い男の子。ここがどこだかわかる?』
「な…!俺は黒い男の子じゃねえ!俺にはジュダルっつー名前があんだよ!」
『え、あ、ごめんね、ジュダルくん』
何故かプンプン怒ってるジュダルくんに眉を下げる。
やっぱり子ども扱いがよくなかったんだろうか。嫌われちゃったかなあ。
うん。今度から、バレないように子ども扱いしよう。
「…別に、怒ってるわけじゃないからな」
『!…ふふ、ありがとう』
なんだか可愛らしいジュダルくんに笑みが零れる。
すると、ジュダルくんがジロジロと私を観察するように見てきた。
な、なんだろう…
「…なあ、お前って、本当に異世界から来たのか?」
ピシリ、空気が固まった。
アラジン、ウーゴくん。私、早速ピンチかもしれません。
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