21.5

ジュダルSide

変な女。
第一印象はそれだった。

邪魔な奴らなんて殺しちまえばいい。
そう教えられた俺は、なんの疑問もなく人を殺してた。いつしか、戦争が楽しいもんだと考えてた。

だから、人を殺すことを悪いことなんて考えたこともねぇ。

わざわざ俺たちを庇って、自分から盗賊の下に降った女の後ろ姿を見る。

俺が、幼い?あの女、頭おかしいんじゃねえの?
そう思うけど、あの女の後ろ姿から目が離せない。

連れて行かなきゃなんねえのに。
アルサーメンの言葉を思い出す。


「この国におまえたちマギにとって重要な鍵となる人物がいる。」


あの女だってすぐわかった。
あいつは黒と白、両方のルフに守られてたから。
黒のルフは堕天した証。
それなのに、あの女は運命を呪った様子もなく、ただ背中に隠してる子どもを守ろうと必死だった。

最後のあの女の言葉が忘れられない。


「なんなんだよ、あいつ…」


もっと知りたい。
あいつが気になる。

あの笑顔が、あの言葉が、まるで、


「なあ、紅炎。おまえの軍、貸してくんねえ?」
「なにをするつもりだ?」
「盗賊狩り」
「…ならば、俺も行こう。」


ただ、あいつが気になる。

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