子育て日記 ジャーファル編

なんの因果か、この世界に来てから十数年。
私が育てたジャーファルは、私を楽にするために暗殺なんてことをしてたらしい。


『……ジャーファル、』


私が名前を呼ぶと、ビクリと身体を震わせるジャーファルの頬に手を添える。


「っ、」
『ダメでしょ』
「……?嫌ってないんですか…?」
『嫌われると思った、ってことは自分が悪いことをした、っていう自覚があるってことだよね?』


むにゅむにゅと、ジャーファルのほっぺたをつまみながら、ゆっくりと話す。

暗殺、暗殺かあ…
それはやっぱり人を殺したってことなんだよね…


『私ね、ジャーファルが、死んだらすごく悲しいよ。ジャーファルも、私が死んだら悲しいでしょ?』
「はい…」
『それとね、同じことをジャーファルは違う人にしたの。』
「っ、あ…」


ジャーファルがボロボロ涙を零す。

やっぱり。小さいこの子に、殺人なんて罪は大きかっただろうに。

声をあげずに嗚咽を零すジャーファルをギュッと抱き締める。すると、ジャーファルはイヤイヤと私の腕から抜け出そうとする。


「っ、離して、ください!貴女まで、貴女まで、」
『ジャーファル。』
「ぅ、あ、」
『気付いてあげられなくてごめんね。』


私の首に手を回しながら、大声で泣くジャーファルの頭を撫でながら、自分の不甲斐なさに私も涙を零した。




ジャーファルは夢主に敬語。
夢主に対してだけ、すごく忠犬だといいな。

そして、夢主はきっとシンドバッドとなんかいい雰囲気になって、ジャーファルギリィだといい。


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