20
『……?』
痛みが来ない。
「て、てめぇ、なんなんだよ…」
『え?』
おそるおそる目を開いて、目の前を見てみると、私の周りを白いなにかと黒いなにかがブンブンと飛んでる。それはまるで、強盗の凶器から私を護るように。
『……なに、これ…』
「るふ…」
『ルフ…?』
今まで私が守ってた子が、そう呟いた。
ルフ…、というと、確か私を護ってくれるっていってた子たちだよね?あれ…?ルフって、人とかじゃないの?この小さな鳥みたいな子たちのこと?今まで、私は見えなかったんだけどなあ。
「そんなの無視してさっさと殺れ!」
「お、おう!」
また、凶器が振り上げられる。
次の瞬間、冷たい空気が辺りを覆った。
私と盗賊たちの間に小さな氷のつぶてが投げつけられる。氷のつぶて、というよりも氷柱?
「お!こいつが例のやつかよ!」
黒い男の子。黒いルフ(?)たちが、男の子の周りを飛ぶ。それを嫌がるように、白いルフが私の後ろの方へと逃げる。
ニンマリと私に笑いかけたその男の子は、強盗たちを無視して、私をジロジロと観察。
「ふーん。こいつがなあ…」
『えっと…』
「とりあえず行こうぜ!」
そう言うと、男の子は抱っこしてる小さな子どもごと、私を抱き上げる。
なんにもわからない私は頭が?でいっぱい。
なんだかアラジンに似てる気もするけど…なにかが決定的に違う。でも、それがなんなのかはわからない。
「おいガキ!その女は俺たちの獲物だァ!置いていきやがれ!」
「あ?うっせーなぁ。俺はこいつに用があんだよ。」
「なんだと?!」
「黙れ」
そう言って、男の子が小さな杖のようなものを掲げると、その先端に黒いルフと呼ばれた子たちが集まっていく。
それはだんだん冷たい冷気になっていった。
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