子育て日記 バルバット編

いきなり知らない世界に来てしまった私。
途方に暮れていたら、男の子が私の顔を覗き込んだ。


「おねーさん、どうしたの?」


金色の髪が綺麗な可愛らしい男の子。
その男の子の瞳は、どこか不安気に揺れていて。
笑みを作る。


『お姉さん、迷子になっちゃったみたいなの。』
「帰るところないの?」
『…うん。けど、君の顔を見たら元気が出たよ。ありがとう。』


男の子の頭を優しく撫でて、その場から立ち上がる。

こんな小さな子に心配かけるなんて。
まだまだだなぁ、私。

身体が小さくなっても、考えることはできる。なら、生きるために、考えなくちゃ。
ここがどこだとか、どうしたら生きていけるだとか。
たくさん、考えることはある。


「おねーさん、おれがおねーさんのお家、さがしてあげる!」
『!…君は優しいんだね。その気持ちだけで十分だよ。』
「でも、」

「アリババー!」


男の子が不安そうに私を見た途端、何処からか女の人の声が聞こえた。
男の子がピクリと反応したから、男の子の名前を呼ぶ声だったんだろう。


『ほら、お母さんが呼んでるよ。』
「う、」
『心配かけさせないであげて。ほら。ね?』


二回ほど私を振り返っては、アリババくんは女の人の元へ向かう。
アリババくんが、女の人のもとに着いたのを見送ってから、私は生きるために、その場をあとにした。

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