13
アリババSide
その人は突然現れた。
アラジンと一緒に迷宮を攻略して、アモンを呼び出した直後に。
突然、白い鳥のようなものが、一つの場所に集まって、人の形をとった。
そして、次に目を開けた時にいたのは、優しそうな雰囲気の女の人だった。
『…アラジン、おいで。』
女の人が隣にいたアラジンに向かって優しく微笑む。それはまるで母親のよう。
アラジンの方を見ると、泣きそうな嬉しそうなそんな顔をして、女の人のもとへ走った。
「花さん…!」
女の人に抱き着くアラジンは、子どものようでもあり、一人の男のようでもあった。
▽
『ぇえっと、君がアリババくんかな?よろしくね。』
「よ、よろしくお願いします!」
『ふふ。そんなに堅くならないでいいよ。可愛いねぇ。』
優しく微笑む花さんに、まるで母さんといるような錯覚を起こす。
懐かしい、温かい気持ち。
「花さん、」
『あらまぁ。アラジンは甘えん坊さんだねぇ。』
「だって、寂しかったんだよ…」
『ふふ。』
ぎゅーっと、花さんがアラジンを抱き締めると、アラジンは嬉しそうに笑みを零す。
俺と一緒にいた時の笑みとはまた違う、愛おしそうな笑み。
『あれ?あそこにいる人たちは?』
花さんの視線の先には、領主だった男と唖然としてる女の子。
それにアラジンと俺が答える前に、花さんは二人に近付く。
『こんにちわ。』
「……?」
『ふふ。かーわい。』
そう言ってにっこりと笑う花さんは、警戒心の欠片もなかった。
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