10

アラジン 10歳


「花、そろそろ時間だ。」
『…そう。なら、準備しようね。』


さみしそうなウーゴくんに、私はあえて笑顔を作った。

アラジンは充分大きくなった。
私たちの期待に答えるように、明るく、元気に。

だから、この部屋にいるのも、もうお終い。
アラジンはこれから世界を見る。

私たち以外がいる大きな世界を。


『ね、アラジン。外に出たがってたよね?』
「!外に出れるのかい?!」


すごく嬉しそうなアラジンに私も嬉しくて自然と笑みを零す。


『ふふ。そうだよ。もうアラジンも大きくなっもんね。一人でも大丈夫だよね?』
「?一人…?花さんとウーゴくんは…?」


その言葉に私は答えられず、ただ眉を下げる。

私は、行けない。
ここから出るのは、アラジンだけ。


「俺たちはいけないよ。」
『ごめんね、アラジン。』
「なんで…?」


悲しそうに私に抱き着くアラジンに、私はなにも言えない。

なんで、かな。
きっと、それは私が違う世界から来たからかもしれない。


「…一つ、方法がある。」
『ウーゴくん?』
「たぶん、俺は身体だけなら、この聖宮から出られるんだ。花は、外に出たいかい?」


ウーゴくんはそう言って私を見つめる。


「僕、花さんと一緒がいい。花さんとウーゴくんと一緒じゃなくちゃ、外になんて出たくないよ。」
『アラジン…』


さみしそうなアラジン。
できることなら、一緒にいてあげたい。

けど、それはアラジンの成長を阻むものじゃないのかな。


「もしも、花が外に出たいと願うなら、今願えば、花の願いはきっと届く。花は、どうする?」


その言葉に私は、私は…

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