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アラジンが寝たあと、ウーゴくんと一緒に、アラジンには秘密の飲み会。
この身体は未成年だけど、あっちの世界でお酒の味を覚えてしまった私だから、飲まずにはいられない。
幸い、この世界では未成年はお酒飲んじゃ駄目って法律はないみたいだし。
「火傷、残っちゃったね。」
そう言って、ウーゴくんが私の腕を指で差す。
それに私は笑みを零した。
アラジンの魔法は、私を守ってくれる“ルフ”って呼ばれる子には効かなかったみたい。
ウーゴくん曰く、それはアラジンがルフに愛された子だから。
アラジンは特別って言ってた。
『ふふ。かっこいいでしょ?私の勲章。』
「…うん。かっこいいね。」
泣きそうな顔をしながら、私の頭を撫でるウーゴくん。
そんな顔しなくてもいいのに。
私は自分の子どもにやられた傷なんて気にしないのに。
『それにしても、アラジンの“願い事”は可愛かったねぇ。』
願い事を言ったときのアラジンを思い出して、クスリと笑みを零す。
「僕の友達になって!」
そう言ったアラジンは可愛かったなぁ。
『でも、なんでウーゴくんだけなんだろーね。』
「花はお母さんだからじゃない?」
『アラジンにそう思われてたら嬉しいなぁ。』
「(たぶん、アラジンは花のこと女として見てるけど。)」
クスクスと笑いながら、作ってあったつまみをパクリ。
ここって、何故かわからないけど、食べ物がなんでもあるからいいんだよねぇ。
「…花はさ、ここにいて嫌だなって思うことないの?いきなりここに連れて来られたんでしょ?」
『うーん…』
イヤ、って思ったことかぁ…
『ないかも。』
「ないの?!」
『うん。』
驚いたようなウーゴくんにコクリと頷く。
あの世界、私の元の世界のことを思い出す。
両親はいなかった。ううん。いたけど、私を子どもなんて思ってなかったの。
『私って、あんまり両親と一緒にいた思い出ないんだよね。』
「…?」
意味がわからないようなウーゴくんに笑いかける。
私が子どもを大切にしないと思ったきっかけ。
『お父さんもお母さんも仕事忙しくて、私が物心ついたときは、家になんていなかった。でね、私が中学上がる頃には、離婚しちゃったの。だからね、私は子どもにさみしい想いをさせない人になりたかったの。』
一度だけお母さんに
「生まなきゃよかった」
って言われたことがある。
私はその時、なら生まなければよかったのに、って思った。
人が、怖かった。
けど、中学の時の職業体験で、私は保育士の仕事を体験して、子どもが好きだなぁ、って思ったから。
だから、私は私みたいな子を出さないように、保育士になりたいって思ったの。
でも、
『私は、アラジンに“愛”を教えてあげられてるかな…』
私は“愛”を知らない。
だって、私は愛されたことがないから。
そんな私がアラジンをちゃんと愛してるか不安になるの。
「大丈夫だよ。」
ウーゴくんが私を見て笑う。
「花は、アラジンを愛せてると思うよ。それに、花はそんなに悩まなくてもいいから。」
『……?』
「俺もいるんだよ?花だけが、悩まなくてもいいんだから。ね?」
ウーゴくんの言葉になんだか涙が出そうになる。
やっぱり、ウーゴくんは優しいなぁ。
『ふふ。ありがとう、ウーゴくん。』
「い、いや、」
『やっぱりウーゴくんは優しいね。そういうとこ、大好き。』
「だっ!!?」
私の言葉に顔を真っ赤にしたウーゴくん。
あらまぁ。やっぱりウーゴくんは優しいけど可愛いなぁ。
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