生きてみようなんて思ったりしたのです。(3/18)


“双子ってね、とっても不吉なの。”


物心ついた時から、
わたしは檻の中に入れられてた。

ぬいぐるみがたくさんいる、不思議な檻の中。

その時は、意味が分からなくて、いっぱいいっぱい泣いた。けど、誰もわたしを見つけてくれなかったから、わたしは泣くことを止めた。

たまぁに、わたしをお世話する人が来てくれたけど、その人はまるでわたしを化け物を見るような目で見た。

すごく怖かった。
だって、わたしは人間なのに。
ただ、ご先祖様の血を受け継いじゃっただけなのに。

誰も、いなかった。
いつか、わたしは誰にも気付かれずに、死んじゃうんだって思った。

双子って、なんだろう。
双子だと、なんで駄目なんだろう。

わたしはだぁれ?わたしはなぁに?

誰かわたしを見つけて。
名前を呼んで。

蝶々、って、

呼んでよ。

でも、でも、
わたしを見つけてくれる人は誰もいなくて、

なんで、わたしは生きてるんだろーね。
どうせなら、もう死んじゃおーか。

そう、思ってた。


「蝶々、」
『…だぁれ?』


けどね、


「ごめん…!ごめんな、蝶々…!」


貴女が、わたしを抱き締めて、泣きながら、名前を呼んでくれたから。


「僕の名前は、白鬼院凜々蝶。」
『り、りちよ…?』
「そう。君の、蝶々の…双子の姉だよ。」
『双子ってなあに?姉って、なあに?』
「っ…!……蝶々を、蝶々を大切に想う人のことだ。」


わたしは、生きてみようって思ったの。


『お姉ちゃん、だぁいすき!』
「僕も、蝶々が大好きだよ。」


暖かい陽だまりが出来たみたいだった。




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