一人はイヤだったりするのです。(17/18)
『お姉ちゃん…?』
誰も、答えてくれない。
『御狐神くん…、お兄ちゃん…』
暗い闇が私を一人にする。
どうしよう、怖い。
あの部屋の夜を思い出す。
光の届かないオリのような部屋。
寒くて、寂しくて、誰も助けてくれない部屋。
『や…っ…!』
一人にしないで、寂しくさせないで。
もう、一人はイヤ
「蝶々!」「蝶々さま!」
暗闇が恐ろしくて、耳を抑えてしゃがみ込む。
聞こえない、聞こえないよ。
どこに誰がいるの?
見えない見えない聞こえない。
「蝶々〜、」
ふと、お兄ちゃんの声が聞こえてきて、顔をあげて辺りを見渡す。
すると、そこには真っ暗な闇と同化してわかりづらいけど、一反木綿になってるお兄ちゃんがいた。
『お兄ちゃん!』
ギュッとお兄ちゃんを抱きしめる。
なんかペラペラだけど、気にしない。
「おお。無事でよかった。」
『私、泣かなかったよ…!』
「そっかあ。蝶々は偉いな。」
ニコリと笑みを浮かべる。
お兄ちゃんがいるなら、もう安心。
だって、私一人じゃないもん。
『お姉ちゃんと双熾くんは?』
「ああ、あの二人なら、」
お兄ちゃんが答えようとした瞬間、パリン…!と、暗闇がまるで鏡のように砕けた。
「蝶々…!」「蝶々さま…!」
ああ、やっぱりお姉ちゃんは私の救世主。
でも、それと同じくらい双熾くんが、私の救世主だって、知ってるの。
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