いろいろ知ってたりするのです。(12/18)


夜、私より大きい枕を持って、お姉ちゃんのベッドに向かう。


『お姉ちゃん、お姉ちゃん。一緒に寝よ?』
「ふ…あぁ。」


お姉ちゃんの了解の言葉を聞いてから、私はお姉ちゃんの布団の中に潜り込んだ。

最近のお姉ちゃんは、あんまり眠れてない。
それなのに、お姉ちゃんは強がって、私になんにも言ってくれないから、心配でたまらない。

お姉ちゃんは優しい。
私のことを、守ろうとしてくれる。
けど、私だってお姉ちゃんのことを守りたいよ。

何かに魘されてるお姉ちゃんの身体を、ぎゅーッと抱き締めた。


次の日、起きると御狐神くんに言われた。


「蝶々さま。僕とも一緒に寝てください。」
『?いい「だ・め・だ!」


私がそれにニコニコ笑って、「いいよー」と答えようとしたら、お姉ちゃんに口元を抑えられた。

んー。お姉ちゃんが断ったら、駄目だぁ。


「…僕とは、一緒に寝てもらえないのですね…」
『お姉ちゃん、御狐神くん可哀想…』
「ダメだからな。」


しゅーんと落ち込む御狐神くんが可哀想で、お姉ちゃんに言ったら、寝るのは絶対駄目って言われた。
とりあえず、御狐神くんが可哀想だったので、頭を撫でておきました。


御狐神くんに、お姉ちゃんと二人きりにしてもらって、お姉ちゃんの手をギュッと握る。


『あのね、お姉ちゃん。』
「なんだ?」
『私ね、お姉ちゃんが一番大好きだよ!お姉ちゃんが私を利用したと思ってても、私はお姉ちゃんのこと好きなの変わらないんだから。』
「!」


あのね。
私、本当は知ってたの。

お姉ちゃんがあの日来たのは、私を利用するためだって。
私の部屋に来る人が、いつも言ってた。

「凜々蝶様だってさみしがってるのよ」
「一人で強がっていらっしゃるのだから!」

そう言ってね、いつも私を殴るの。
きっと、あの人たちは、ただの鬱憤晴らしだったんだと思う。
お姉ちゃんのことなんてどうでもよくて、ただ自分の気持ちを晴らしたかっただけ。

でも、全然悲しくなんてなかった。
だって、悲しいなんて気持ち知らなかったから。
辛いなんて気持ちなかった。

あの頃の私は、気持ちがわからなかった。
ただ、息をしてただけ。

私ね、お姉ちゃんが来た時、この人はさみしい人、私と同じ人って思った。
それと同時に、心があったかくなった。

お姉ちゃんが来るときは、決まってお姉ちゃんは悲しい顔をしてた。
だから、お姉ちゃんは私のことを見て、自分の心を慰めてるんだってわかったの。

でもね、私にそんなの関係ないんだよ。
私にとって、お姉ちゃんは救世主なの。


『だからね、私はお姉ちゃんの味方でいたい。ずっとずっと、お姉ちゃんを守る人でいたいの。』
「蝶々…っ、」
『私はお姉ちゃんが大好きだよ。』


世界中が、お姉ちゃんを敵視しても、私だけは、お姉ちゃんの味方でいるんだ。

そう、私は決めたから。




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