ここはお化け屋敷だったりするのです。(11/18)


お姉ちゃんとお風呂から出たあと、窓辺で涼んでいると、ぱ、と電気が消えた。


「停電…?」
『?停電ってなぁに?』
「停電は…、」


お姉ちゃんが答えようとした瞬間、私とお姉ちゃんを、何かが捕まえた。


『いやっ、』「っ!」


ゴリッ、おでこに何かが押し付けられる。

なになになになになになに??
怖い、怖い怖いよう。
お姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん!


「ここの住人だな?解るよな?静かに部屋まで案内して金を出しな。」
『やだやだ…お姉ちゃあんん…!』


ボロボロと涙が零れ落ちる。

誰?誰?やだやだ。触んないでよお。
お姉ちゃんお姉ちゃん、御狐神くん。

気持ち悪い。


「ハッ…人間の強盗か。蝶々、目を光らせろ。」
『ふぁい。』


ぐしぐしと、涙を拭きながら、ぼう…と目を光らせる。
すると、私を押し倒すようにして、拘束していた男の人は、私から飛び退いた。

その隙に、私はお姉ちゃんの後ろにギュッと隠れる。


「な、なんで…目が光って…!化け物屋敷ってのは、本当だったのか!」
「化け物屋敷とは失礼だな。僕は今、蝶々を傷付けられて怒っているんだ。さっさと投降した方が身の為だぞ?」

「よるな…」

バンッ!

男の人が黒い何かの引き金を引くと、大きな音が部屋に響く。

怖くて、目を閉じた。


「参じるのが遅くなり、申し訳ありません。お怪我は…?」
『御狐神くん!』


声がして、恐る恐る目を開けると、そこには御狐神くんが立っていた。


「お、お、おまえら…っ」
「僕の蝶々さまに、銃口を向けましたね?」


ざわり、風が吹く。
ざわざわざわざわ、風が私たちの頬を撫でると、御狐神くんは変化していた。

男の人は、気絶しちゃった。

男の人を一瞥すると、御狐神くんが私たちに右手を差し出してくる。


「蝶々さま、凜々蝶さま、お怪我はございませんか…?」
『!み、御狐神くん、血、血出てる!』
「あぁ…失念しておりました。申し訳ありません。では左で。」
「そうじゃないだろ!」


お姉ちゃんの声が響く。

どうしよう。私のせいで、御狐神くんが血ぃ出ちゃった。死んじゃったらどうしよう!

ぐるぐると考えると、涙が零れる。


「僕のことで、涙を流すのはおやめください、蝶々さま。僕は蝶々さまをお守りするために在るのですから。」
「……っ、馬鹿か…!君は蝶々の気持ちが分かってないな!蝶々は君のことを心配しているんだぞ!」
『〜っ、ふぅっ、』


声を出さないように、唇を噛み締めて涙を零す。

誰かが傷付くのはイヤだよ。
みんな、幸せがいいよ。

涙を零してると、ぐいっと御狐神くんに足首を掴まれる。
そして、そこにキスされた。


『ひんっ、』
「爪先へのキスは忠誠の証です、蝶々さま。凜々蝶さま、僕は蝶々さまに忠誠を誓い、大切にいたします。僕は、蝶々さまに救われたのです。ですから、どうか…どうか…!蝶々さまのお側に居させていただけませんか…!」
「……知らん…好きにしろ…!ただし、蝶々を泣かせるな!」
「凜々蝶さま…っ、ありがとうございます…!」


…あれ?なんか、途中からおかしなことになってる?




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