お姉ちゃんは優しかったりするのです。(6/18)


凜々蝶Side

僕のベッドでスヤスヤと眠る蝶々のサラサラな髪を撫でる。

久しぶりに感じる蝶々の存在に涙が出そうになった。

僕には悪癖がある。
無駄に虚勢をはって、悪態をついてしまう。
幼い頃から変わらない、僕の悪癖。

でも、蝶々はそんな僕を受け止めてくれた。

違う。蝶々には僕しかいなかった。
小さい頃から、一人離されて小さな部屋しか見たことのなかった蝶々は、僕に縋ったんだ。

僕は、ズルい。

もしも、僕が蝶々より後に産まれてたら、あの部屋にいれられてたのは僕かもしれない。

蝶々があの部屋にいれられたのは、古いしきたりと蝶々自身の能力のせい。

蝶々には、僕たち先祖返りとも違う血が流れてる。
それは、特別なもの。
敬うんじゃない。畏れるもの。

蝶々の血は、人を縛れるから。

僕は、あの日、自分自身の寂しさを埋めるために、蝶々の部屋に行った。

でも、今は蝶々を本当に想ってる。

あの日、蝶々の部屋に行ったとき、自分と同じ顔をした彼女が、人形のような瞳で僕を見たのをよく覚えてる。

そのとき、僕はやっと彼女を妹だと認識した。
認識したとたん、涙が零れた。

大切にしないといけないと思った。
僕が護ってあげなくちゃいけないって。

でも、一年くらい経つと、蝶々は何処かに消えてしまった。

やっと、やっと逢えたんだ。
僕がずっと護ってあげる。

僕の宝物だから。


『…ぉ、ね、ちゃぁ…』
「僕がずっと一緒にいるからね。」


僕に縋った蝶々を一人にしない。

そう、僕は決めたんだ。




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