お兄ちゃんができちゃったりするのです。(7/18)


『えっと、はじめましてです…?反ノ塚様?』


ペコリ、お辞儀をしてご挨拶をした。


「は?どうしたんだ、りりちよ。」
『うぇっ?』
「熱でもあるのか?」


そう言って、反ノ塚様はわたしのおでこに手を添える。

あ、なんか冷たくて気持ちいい…


「反ノ塚さま、僕の蝶々さまに変な真似はお止めください。訴えます。」
「はぁ?」
「反ノ塚、蝶々は僕の双子の妹だ。軽々しく触るんじゃない。」

「……りりちよじゃない?」


反ノ塚様の言葉にコクリと頷いた。




それから二時間後。


「蝶々ーおいでー」
『お兄ちゃーんっ!』

ぎゅー

わたしとお兄ちゃんはすっかり仲良くなっていた。

それは、お兄ちゃん呼びをするほどに。


「あー。お前可愛いなぁ。」
『お兄ちゃんは優しーね!』
「かーわーいーいー。」
『きゃーっ!』


お兄ちゃんの膝の上でグリグリと強く頭を撫でられる。
でも、全然痛くなんてなくて、すごく優しかった。


『お兄ちゃんは、お姉ちゃんの小さい頃知ってるんでしょ?わたし、お姉ちゃんの小さい頃いっぱい知りたい!』
「蝶々は、りりちよが大好きだなー。」
『うん!』


お兄ちゃんのその言葉に、思いっきり笑顔をして肯定する。

お姉ちゃんは、わたしを生かせてくれた人だから。
きっと、お姉ちゃんがいなかったら、わたしは死んじゃってた。

わたしにとって、お姉ちゃんは命の恩人で、大好きな人。


「んー。そういやぁ、昔、俺と喧嘩した後、三枚分の便箋にびっしりと謝罪してきたのには、驚いたなぁ。」
『お姉ちゃん、すごいねぇ。』
「あいつは、素直じゃないからな。」
『でも、お姉ちゃんはすっごく優しいよ!』


わたしの言葉に、お兄ちゃんは微笑んで「そうだな」って言ってくれたことがすごく嬉しかった。

わたし以外にも、お姉ちゃんを分かってくれる人がいることが、すごく嬉しかった。



「僕の蝶々が…」
「……凜々蝶さま、殺せ、とご命令を。」
「笑顔で言うことじゃない!いや、でも、いっそのこと…はっ!それより、僕は君が蝶々の側にいることを許してないからな!」
「ご命令は?」


わたしとお兄ちゃんがお話してる横で、お姉ちゃんと御狐神くんが、そんなおっそろしい会話をしてることには気が付きませんでした。






- 7 -
|


[Back]

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -