お兄ちゃんができちゃったりするのです。(7/18)
『えっと、はじめましてです…?反ノ塚様?』
ペコリ、お辞儀をしてご挨拶をした。
「は?どうしたんだ、りりちよ。」
『うぇっ?』
「熱でもあるのか?」
そう言って、反ノ塚様はわたしのおでこに手を添える。
あ、なんか冷たくて気持ちいい…
「反ノ塚さま、僕の蝶々さまに変な真似はお止めください。訴えます。」
「はぁ?」
「反ノ塚、蝶々は僕の双子の妹だ。軽々しく触るんじゃない。」
「……りりちよじゃない?」
反ノ塚様の言葉にコクリと頷いた。
▽
それから二時間後。
「蝶々ーおいでー」
『お兄ちゃーんっ!』
ぎゅー
わたしとお兄ちゃんはすっかり仲良くなっていた。
それは、お兄ちゃん呼びをするほどに。
「あー。お前可愛いなぁ。」
『お兄ちゃんは優しーね!』
「かーわーいーいー。」
『きゃーっ!』
お兄ちゃんの膝の上でグリグリと強く頭を撫でられる。
でも、全然痛くなんてなくて、すごく優しかった。
『お兄ちゃんは、お姉ちゃんの小さい頃知ってるんでしょ?わたし、お姉ちゃんの小さい頃いっぱい知りたい!』
「蝶々は、りりちよが大好きだなー。」
『うん!』
お兄ちゃんのその言葉に、思いっきり笑顔をして肯定する。
お姉ちゃんは、わたしを生かせてくれた人だから。
きっと、お姉ちゃんがいなかったら、わたしは死んじゃってた。
わたしにとって、お姉ちゃんは命の恩人で、大好きな人。
「んー。そういやぁ、昔、俺と喧嘩した後、三枚分の便箋にびっしりと謝罪してきたのには、驚いたなぁ。」
『お姉ちゃん、すごいねぇ。』
「あいつは、素直じゃないからな。」
『でも、お姉ちゃんはすっごく優しいよ!』
わたしの言葉に、お兄ちゃんは微笑んで「そうだな」って言ってくれたことがすごく嬉しかった。
わたし以外にも、お姉ちゃんを分かってくれる人がいることが、すごく嬉しかった。
「僕の蝶々が…」
「……凜々蝶さま、殺せ、とご命令を。」
「笑顔で言うことじゃない!いや、でも、いっそのこと…はっ!それより、僕は君が蝶々の側にいることを許してないからな!」
「ご命令は?」
わたしとお兄ちゃんがお話してる横で、お姉ちゃんと御狐神くんが、そんなおっそろしい会話をしてることには気が付きませんでした。
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