天女は謳う(2/19)
暗い、何処かも分からない森の中、私は立ち竦む。
ただ、分かるのは私は護れなかったということ。
私は最愛の仲間たちを護れませんでした。いいえ。それどころか、私は仲間に助けられました。
あぁ、ごめんなさいごめんなさい。
こんなはずではなかったのです。
ポロポロと瞳から涙が止まりません。
大切だったのです。
大好きだったのです。
「おいおい!姉ちゃん!そんなところでなにしてんだよ?」
「ギャハハハ!綺麗な格好してんじゃねェか!」
「顔も綺麗だしよ!姦っちまおうぜ!」
『貴方方は…?』
「貴方方は…?だってよ!!」
「しいて言うなら、盗賊じゃね?いやいや、でも俺たちやっさしーしなぁ?」
「嘘ついてんじゃねぇよ!」
ピクリと肩が震える。
盗賊?この方たちは盗賊なの?
私の、すべてを奪った人?
『あ、ぁあ、いやぁぁぁぁあ!!!』
【夢の中の賛美歌(バースデースリープ)】
悲しいのです。悲しいのです。
私は彼等の元に戻りたい。
死ぬときは、彼等と一緒に逝きたかったのです。
ですが、もうそれは叶わぬこと。
ならば、私は謳いましょう。
哀しみの謳を、愛しみの謳を。
どうか、どうか、すべての方々に安らかなる永遠の眠りを。
私の瞳は熱く、キラキラと緋色に染まっていた。
- 2 -
≪ | ≫
[
Back]