羽衣を取られた天女様(4/19)


優しい夢の中にいたかった。

クルタのみんなと優しい優しい陽だまりのような夢の中に。

あぁ、私のお付きだったあの二人は無事でしょうか。私によく祈りを捧げてくれたクラピカは無事だったのでしょうか。あの子は、まだ幼いのに私を崇拝していましたから…

目を開きたくなかったのです。
目を開けば、私は誰もいないあの森にいるのでしょう。そんなの耐えられるはずがないのです。

誰かが、私の素肌に触れる感覚がしました。
冷たい手。そのあまりの冷たさに思わず身体が震える。

目を、開いてしまいました。

白銀の髪。端正な顔をした裸体の男が息を呑むのがわかりましました。でも、それも一瞬のこと。すぐに子どものような笑みをしました。

ドクリ、身体が震える。

何故でしょう。
私は、この方が大変恐ろしく感じたのです。

彼の冷たい手が、私の首筋をなぞる。


『ひぅっ、』
「あぁ、いい声で鳴く。」
『や、やらっ…、?!』


そこで私はやっと、自分の身体の変化に気が付きました。

身体が、痺れて動かない。
身体の感覚はしっかりとあるのに、身体が動かない。それに、口の中も痺れて、


「大丈夫だ。悪いようにはしないよ。」
『ぃ、や、』
「はは。」


笑みを崩さない彼に、私の身体は震えるばかり。

彼の唇が、私の唇に重なり合う。

きっと、その瞬間、私の心は縛られてしまったのです。

初めて出逢う男に身を捧げながら、私はただ喘ぐことしかできませんでした。





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