地上に堕ちた天女様(1/19)


私の瞳はとても美しいと謳われていました。

世界七大美色と言われた私たちの瞳の中で、もっとも美しいと謳われてきた私はやがて、クルタ族を治める巫女として君臨いたしました。

私はそれがイヤではなかったし、むしろ誇りとしてその地位を、とても大事にしていました。


しかし、それは崩れてしまったのです。


ある日のことでした。
私は彼等の武器が、ずっと彼等を護ってくれるよう祈りを籠めておりました。

彼等が安らかでいられるよう。
彼等に力を与えてくださるよう。

祈りは途切れました。

甲高い悲鳴と、怒声が村を揺らしたのです。


『なにごとですか!』
「巫女様!お逃げください!瞳を狙ってきた賊でございます!」
『っ、なら、なおさら私も行かなくては!』


その場にあった刀を手に持ち、私は立ち上がる。
私の生きる意味は、彼等の為。
クルタの巫女として、私は彼等を護らなくてはいけないのです。


「っ、おやめください!」
『何故ですか!私は巫女ですよ?!』


私のお付きであるクルマが、私を止める。

私が行かなくては。
今まで、私がしてきたことが意味をなくしてしまう。


「わたしは、今から巫女様…いいえ、ハルミヤ様にあることをいたします。」
『?なにを…』
「これはわたしの命をかけること。ですが、わたしはハルミヤ様に生きていてほしいのです。」
『やめてください!私は彼等を助けに行かなくては!』


私が部屋から出ようとしますが、私が部屋から出るのは叶いませんでした。


『っ、これは、結界…?』


結界で、やっと私は気が付きました。

そうです。私が護ってきたのではなかったのです。
私は、護られてきたのです。


「では、ハルミヤ様…、どうか、生きて…、」


最後に見たのは、紅い紅い緋色の瞳でした。





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