天女にとっての甘美な現実(15/19)


もしも、私があの世界に帰れたとして、なんの意味があるのでしょう。

盗賊から彼等を助けることが出来ず、一人生きて、巫女として一族に捧げるはずの躰を、見知らぬ男に奪われた私です。

そんな私が、今さらあの世界に帰りたいと願うことすら、赦されるはずがないのです。


夢なのです。
これはすべて夢なのです。


目が醒めたら、私はいつも通りにあの世界で一族を護る者として君臨しているのです。
巫女として、祈りを捧げ、一族に身を委ねるのです。

盗賊なんかいない、平和な村で、平和に暮らす。


現実に戻りたいんです。
早く、目が醒めればいいのに。





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