それは愛は愛でも、同情からくる愛(13/19)


ある日、一人の少女と出逢いました。
いいえ、出逢ったのではない。少女は、私の部屋に来ました。
少女は言いました。


「貴方は、グリフィス様が好きなのですか?」


私はそれに何も答えられませんでした。

少女はこの国の王女と言いました。
王女様は、彼が好きだと仰りました。
彼を、愛していると。

何も言わない私をどう思ったのか。
彼女は一つため息を吐くと、出て行ってしまいました。

いつだか、彼は語ってくださったことがあります。

自分の夢は自分の国を手に入れることだと。

もしも、彼が王女様と結婚をすれば、彼はきっと、自分の夢を叶えることができるでしょう。


「ハルミヤ…?」
『ぐり、ふぃす、さま、』
「っ、ぁあっ、初めて、名前を呼んでくれた…」


私が貴方の名前を呼ぶのは、最初で最後。

気付いてしまいました。
私は愚か者です。

恥ずかしながら、私は王女様が私にあの言葉を言ってくださるまで、私は自分の本当の気持ちに気付くことができませんでした。

私は、何年もグリフィス様とともに過ごし、徐々に愛おしさをグリフィス様に感じていたのです。
たくさんの狂気は、私に積もっていったのです。

えぇ、えぇ。白状いたします。

私は、グリフィス様を愛してしまいました。

私だけを愛してるグリフィス様に。
無邪気に笑みを零すグリフィス様に。
まるで赤子のように、私に縋り付くグリフィス様に。

ですが、それは決して純粋な愛とは言えない

それと同時に、私は気付いてしまいました。
私はここにいていい存在ではないのだと。

私の存在は、グリフィス様を壊すでしょう。狂わすでしょう。

私の存在は、彼の障害でしかないのです。

私は巫女でありたかった。
ですが、処女を奪われては、巫女にはなれない。もう、あの優しかった居場所へは戻れないのです。

私の居場所は、この世界には、グリフィス様のもとだけでした。


『んっ…』
「名前、呼んで…ハルミヤ、愛してる…!」
『グリフィスさ、ぁあっ、!』


初めて、彼のモノが私の中に注がれました。

薄れゆく意識の中、私はしきりに涙を零し、グリフィス様は愛おしそうに私を見ておるのを私は感じました。






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