穏やかな時間(12/19)
踊りたい。
あの頃のように、舞って、祈りを。
私に、外のことはよくわかりません。
ですが、彼は国のなんだか偉い人になったということだけ聞きました。
私は、部屋を移されました。
石の壁。何処かわからない場所で、彼が帰ってくるのを待つ。
たまに、キャスカ様やガッツ様が来てくださるけど、部屋で待つのは、なんだかさみしいものがありました。
ある日、彼は無邪気に笑いました。
「外に出ようか。」
その言葉は、私が待ち望んだ言葉でもありました。
彼の言葉にコクコクと頷くと、彼は私を横抱きにして、歩き始めました。
彼は、私は歩けないと思っています。
ですが、彼に斬られた足の腱はすでに回復していました。
久しぶりに見る太陽の光と優しい匂いに、自然と笑みが零れる。
庭には、綺麗な花がたくさんありました。
ソッと、彼は私をその花畑におろしました。
草木を揺らす風が、鳥たちの囀りが、優しい
光が私たちを照らす。
「ハルミヤは、オレの前から消えるか、?」
そう、彼はさみしそうに、迷子の子供のように泣きそうな顔で私に笑うのです。
私は、その言葉に答えませんでした。
「愛してる…、愛してるんだ…」
彼は、そう言って、私に縋るのです。
そのまま私を押し倒した彼は、いつものように私を抱きました。
すでに、私はこの行為に嫌悪感を持ってはいませんでした。
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