愛ではない。(10/19)


『!』


ガッツ様がいなくなった後、彼は私を思いっきり押し倒しました。

背中に痛みが広がります。
ズキズキと痛む背中。それに、涙が出そうになりますが、必死で我慢します。
知っているのです。涙を見せるのは、彼が余計に興奮するだけということを。


「愛してる愛してる愛してる愛してるよハルミヤ愛してる…」
『んんっ…!』


愛してる愛してる、と言いながら、彼は私に深い口付けをしてきました。

深い深い、食べられてしまうんじゃないかというくらい、彼はひたすら私の唇を貪りました。歯茎を丹念に舌でなぞり、私の舌を見つけると、それを自分の舌で絡め取る。気持ち良さと息苦しさ、それから少しの違和感に私はとうとう涙が抑えきれませんでした。


『ふぅんっ、いぁ、』
「……ハルミヤ、」


苦しくて、苦しくて、
私を押し倒した彼の胸板を叩く。

解放してください。解放して欲しいのです。

そう思ってしまう私は愚かなのでしょうか。
彼が、それを赦してくれるはずなんてありえないことですのに。


『ぅっぐっ、』
「オレは、ハルミヤがガッツやキャスカと話すのは甘受してる。けど、オレよりあの二人を取るなら、オレはあの二人を殺すよ。」
『っ、!』


私の首を絞めながら、嗤う彼。

ですが、その瞳には、

なぜ、そんな痛そうに笑うのですか。
なぜ、そんなに辛そうなのですか。

私を手に入れ、蹂躙し、それだけでは物足りないのですか。

私は貴方が好きではありません。
ですが、あの無邪気な笑みが私は好きなのです。

そっと、彼に触れる。


「っ、ハルミヤ、?」
『笑ってください。あの無邪気な笑みで。』


そしたら、私は我慢できるのです。

まるで宝物に触れるように、私に触れる彼を、私は初めて心から受け入れました。


これは、きっと夢なのです。





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