男の親友(8/19)
あれから、何年かが過ぎました。
彼は相変わらず狂っていますし、私は彼の所有物として、鷹の団にいました。
そこで、私は巫女としてクルタの一族にいた時と同じように、武器に口付けをし、祈りを捧げて過ごしております。
なにに祈っているのか、なんて、私にはわかりませんでした。
ただ、私にこの生活を許してくださる彼に、それだけは感謝しておりました。
私は鷹の団のみなさまとはあまり交流がありません。なぜなら、私は彼の、彼だけのために存在する所有物だからです。彼は、私が自分以外の人と話すことを嫌います。いいえ。私が他の人を瞳に映すことすら嫌うのです。
ですから、私が話したことがあるのは数人です。唯一、私が話すことが出来るのはキャスカ様とだけ。キャスカ様は、この団の紅一点であり、私の良き友人でもあります。
先日、私に手を出そうとした方がいました。その方は、静かに怒った彼に、残酷に、残虐に殺されてしまいました。
彼は恐ろしいのです。
私を、盲目的に愛し過ぎているのです。
先日、ガッツという方が鷹の団に入ったそうです。その方は彼に気に入られて、入ったとこのこと。
遠目でガッツと呼ばれた彼を見て、直感的にこの方が彼の、私の、救いになると思いました。
私は今宵も祈ります。
どうか、彼が私を愛さないでくださるよう。
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あれから何年かが過ぎた。
あの時よりも、ずっとずっとハルミヤを愛してるのを感じる。
ハルミヤには、不思議な力があった。
それは武器の力を最大限に引き出すことが出来るというもの。
これで、ハルミヤに文句を言うやつはいなくなった。
ハルミヤには利用できるものがあったから。
まあ、それでなくとも、ハルミヤを離すような真似はしなかったが。
誰に、何を言われてもハルミヤはオレのもの。
オレと一生を生きればいい。
『あの、』
「なに?」
『キャスカ様と一緒に、温泉に行ってもよろしいですか…?』
おそるおそる、といった感じで、オレにそう言ってきたハルミヤ。
にっこりと笑う。
「いいわけ、ないだろ?」
『ぅ…、』
「オレが、ハルミヤを何処かに行かせると思った?それに、ハルミヤは一人じゃ動けないだろ?」
『ひっ、ぁんっ、んんっ、』
スルリと、全裸のハルミヤの太ももに手を伸ばし、足首までなぞる。
その度に、指を噛んで声を出さないように我慢する涙目のハルミヤに、先程ヤったばかりなのに興奮した。
「オレがハルミヤの足の腱切ったのは、オレのそばから離れさせないためなんだから。」
『ぅあっ、』
「それに、キャスカにそこまで心開くなら、オレ、キャスカのこと殺すよ。」
それにハッとした表情になるハルミヤに、キスをした。
ハルミヤハルミヤ、愛してる。
ハルミヤがオレを恐がってても、オレはハルミヤを愛して愛して、愛してる。
繋がってないと不安なんだ。
ハルミヤは何処かに消えてしまいそうで。
オレに抱かれながら、涙を零すハルミヤには気が付かないフリをした。
この数日後。
オレはガッツと出逢う。
最初で最後の親友に。
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