羽衣を奪い、天女を捕らえた男(5/19)


自分が想像した以上に、彼女の、ハルミヤの身体はすごく柔らかかった。
白い肌に映える、オレの痕。
初めてだったようで痛がっていたが、そんなのは関係なかった。

ただ、彼女が欲しかった。

オレは、ハルミヤの身体と心を無理矢理、縛った。





グリフィスと名乗った彼。
この世界は、私の世界ではありませんでした。世界七大美色なんてものはない。殺伐とした世界。クルマは、恐らく自分の命と引き換えに、私を異世界へ飛ばしたのでしょう。

あぁ、でもごめんなさい。
私は恐ろしい方に出逢ってしまいました。
彼は、私の処女を奪い、私の心を【恐怖】で縛りました。

私の念能力は、私が相手を【畏れて】しまったら、使えません。私が彼から逃げることは、不可能となっていました。

天幕に入れられてから、二日が経ちました。
彼は私を夜通し犯し続けていました。
誰にも会うことなく、私はまるでペットのように彼に食べ物を食べさせて貰っています。

彼の押し潰されるような“愛してる”に、私は深い絶望を味わっていました。


「ハルミヤハルミヤ、オレのモノだ。愛してる。」
『いや…っ』
「そんなのは、許さない。」
『カハッ、』


悪足掻きなんて、彼には意味がないのです。
天幕から逃げ出そうとすると、彼は私の首につけた鎖を引っ張り、私は首の圧迫感に涙を零す。


「今度、この天幕から出ようとするなら、その瞳を抉るよ。その瞳、気に入ってたんだけどな。」
『っ、』


私の瞳に爪を立てようとする彼に本気を感じ、思わず反射的に目を瞑る。

この瞳と髪は誰にも渡せません。
異世界に来てしまった今、私があの世界にいたと示すものは私自身なのです。
一族共通の、緋色の瞳と金の髪が、クルタ族を思い出す唯一のもの。

耳元で、彼が「冗談だよ。だから、ハルミヤは絶対に逃げるな。」と囁いたのが分かりました。
それに、私はただ首を振ることしか出来ませんでした。

恐ろしい、恐ろしい方なのです。
グリフィスという男は。





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