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『きりちゃーんっ!』
あれからもう半年。
私たちは七歳になった。
最初は大変だった。
お金は焼けた村から持ってきたけど、それも一ヶ月くらいでなくなってしまった。
それから何日かは、木の根や虫を食べて過ごしていたけど、限界で、私たちは必死でアルバイトを探した。
生きるために必死だった。
私一人じゃ、死んでたと思う。
けど、きりちゃんがいたから。
ここまで生きてこれたんだ。
ボロボロの着物を来て、荒れ寺に住んでる私たち。たまに山賊が来るから、今の暮らしにも限界を感じていた。
でも、今日アルバイト中に聞いた話。
これは、私たちがまともに生活できるチャンスかもしれない。
『ただいまー!』
「おかえり。」
『あれ?内職中?私も手伝うよ!』
「ありがとな。」
私が帰ると、内職をしていたきりちゃんに、私も座って手伝う。
無言で集中する私ときりちゃん。
きりのいいところまで、終えると私はゴクリと息を呑んで、きりちゃんに話しかけた。
『………きりちゃん、今日ね、相談があるの。』
「んー?」
『そのままで、いいから聞いてね。』
きりちゃんには反対されるかもしれない。
だって、たくさんのお金が必要だから。でも、もしも、あの話が本当なら、私たちが生計を立てられるようになるのは間違いない。
それが例え、命がけの仕事でも。
「俺も話ある。」
『えっ?私からでも平気?』
「あぁ。」
コクリと頷いたきりちゃんに私は、きりちゃんの目を真剣に見つめる。
『あのね、…………忍術学園っていうとこ行ってみない………?』
きりちゃんが、目おっきくして、びっくりしてる……。
やっぱ無理かな………?
ダメ、なのかな。
「……………あははっ!」
『へ、?』
と、思ったら急に笑いはじめた。
なんで、笑ってるの!?
きりちゃんがおかしくなっちゃった!
「考えること、一緒だな。俺もそれ言おうと思ってたんだ。」
『へ、?そう、だったの?』
「あぁ、今日俺洗濯の手伝い行ったろ?そんときさ、たまたま男が話してるのきいてさっ!忍者って確かに危ないけど、ちゃんと気をつければかなり金が入るし。それに、忍術学園ってとこは学費が高いけど全寮制で女も入れるんだって!」
『ごはんも美味しいらしいんだよっ!私も、バイトしてるとき、聞いたの。』
「それにさ、強くなれば」
大事なものも、失わないですむだろ?
きりちゃんは一瞬、笑みをなくして悲しそうに言う。
だいじなもの。私の大事なものはきりちゃん。
それが守れるなら、私は命だって惜しくない。
『そう、だね。じゃぁ、明日から忍術学園の情報を集めるぞー!』
「そんで、明日からは、さらに節約生活して学費集めるぞ!」
「『頑張るぞっ!』」
おーっ!
私ときりちゃんはにっこりと笑って、腕を大きく上にあげた。
父ちゃん、母ちゃん。
私ときりちゃんのことは心配しないでね。
私ときりちゃんは二人でいれば、どんな状況の時だって笑えるの。
お母さん、お父さん。
私ね、きりちゃんがいてくれるから、まだ生きてられるよ。
みんなが幸せにいますよーに。