生きるから [ 11/25 ]
私たちは、あのあと戦が終わるまで、ジッと身を潜めて、息を殺した。
終わってから父ちゃんと母ちゃんのお墓を掘って、無言で父ちゃんと母ちゃんの体を埋めた。
「雪兎……、これからどうしようか。」
『……………』
「雪兎…………」
きりちゃんが何かを言ってる。
けど、私にはそれが私を赦さないって言ってるように聞こえた気がした。
『………ごめんなさい……』
あの時、私が遅くまで洗濯物をしていたから。
あの時、私がきりちゃんを振り払ってでも、母ちゃんを治療していたら。
「雪兎…?」
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい』
私には、力があったのに、私が、私のせいで……………っ!
私なんて、消えちゃえばいいのに。
「やめろっ!!!」
『きり、ちゃ、』
「雪兎は、悪くない!俺だって、雪兎が治すの止めたろっ!?」
『っ!きりちゃんは、悪くない!母ちゃんの言う通りにしただけだもんっ!しょうがなかった!』
そう、あの時母ちゃんの言うことを無視してたのは私。
きりちゃんは、なにも悪いことしてない。
「……俺が悪くないなら、雪兎も悪くないだろ?」
『だって、………私……』
「なぁ、雪兎、生きよう。母ちゃんが最後に言った通り幸せに生きよう。」
『でも………』
「母ちゃんは、俺たちに会えて幸せだったって言ってたろ?だから、今は泣いていいから、明日から二人だけでも幸せに生きよう。」
きりちゃんの言葉にジワリと涙が出そうになる。
でも、それはきりちゃんも同じで。
『っ!わた、し、泣かないよ!母ちゃんと父ちゃんは、私の笑顔が好きって言ったから、泣かない。きりちゃんは、泣いていいよ。私、きりちゃんの、お姉ちゃんだから。』
「……っ……!ばーか、雪兎は、お姉ちゃんじゃなくて、俺の妹だろ……?」
『!違うよ!私がお姉ちゃん!』
「俺が兄ちゃんだ!」
「『……………あははっ!』」
二人ともボロボロと泣き笑いながら、額をコツンと合わせる。
泣いて泣いて泣いて、明日には笑おう。
明日には笑って、二人で生きよう。
「これで、いつもの俺たちだな。」
『うん。きりちゃん、私頑張るからねっ!』
「ばぁか。私、じゃなくて私たち、だろ?」
『っ!うんっ!』
私たちは血が繋がってなくても、二人きりと大切な家族だから。
絶対、だいじょーぶ。