あたたかいぬくもり 
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まって! まってよ!
おとうさん!おかあさん!

わたしをおいていかないでっ!!

ずっと一緒じゃなかったのっ!?!?

おとうさん!おかあさん!

手を伸ばして叫ぶけど、お父さんとお母さんは遠くなる。

消 え て し ま う 。

フワリと暖かい何かが私を包んだ。


「大丈夫、大丈夫だからね。安心してお休みなさい。」
『…あっ………すぅすぅ……』


暖かい何かは優しい音色で私を安心させてくれる。
大丈夫だからって。

それに安心した少女は眠りについた。


「この子はどうしたんだろうねぇ。」
「まぁ、目を覚ましたら分かるだろう。」





暖かい、何かに包まれたことで目が覚めた。


『……んぅ……』
「あっ!めぇさめたっ!」
『……えっ……?』
「かあちゃーんっ!おんなのこ、めぇさめたよー!」


男の子の声がしてキョロキョロと辺りを見渡す。
目に入るのは昔のような古い道具やなんだか落ち着く懐かしい匂い。

えっ?どこだろ?ここ……
そういえば、わたしおばさんに、包丁でさされて……

し ん じゃ っ た ん だ


「きり丸!本当かい!?」
「うんっ。ほらね!」
『…うっうぇ………』
「「………え?」」
『うわぁぁぁぁああああああああん!!!!!!!!』


ポロポロと私の瞳からは私が人とは違う証が出る。
でもそんなこと気にならないくらいに、不安だった。怖かった。

わたし、死にたくなんかなかったのに!
もっと生きていたかったのに!


『おとうさぁぁあああん!おかあさぁぁぁああああん!』


ポロポロポロポロ。
私の瞳からどんどん泪が石に変わる。

それは止まることを知らない。


「………っ……」
『……ふぇ………?』


泣いてる私を暖かい声の主が包んでくれた。
それに驚いて、主を見上げる。
優しい優しい天女様のようだった。


「……大丈夫よ、大丈夫。わたしが一緒にいてあげるから。」
『ふ…いっしょに………?』
「そうよ。今なら私の家族もついてくるわよ。」


女の人の後ろには私より小さい男の子と優しそうな男の人。


『かぞく………』
「えぇ。でもね、私達あなたのことなんにも知らないわ。だから、私にあなたのこと教えてくれる?」
『わたしのこと?』


背中を摩りながら女の人は私に優しく囁く。


「そうよ。とりあえず、今はもう寝なさい。泣いたら疲れたでしょう?あぁ、でも寝る前に名前だけ教えてくれる?」
『ゆきと……』
「そう。雪兎。雪兎が寝るまで私はここにいるわ。だから、今は寝ましょう。起きたら、私たちにあなたのことを教えてね。」
『…………うん。』
「お休みなさい。」


その日の夢は、おかあさんとおとうさんがいなくなってから初めてみたやさしい夢でした。

 

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