■ Love as I am mad for her who is vain.


一ノ宮由貴Side

彼女は美しかった。

真っ赤な唇に、陶器のように滑らかな透き通る白い肌、漆黒の闇のような長い髪。

きっと、誰もが憧れ、一度は抱きたいと願った。
……僕でさえ、願ったんだから。

確かに僕は真栗が好きだった。
でも、彼女をほっとけなかった。
愛がないまま、人に抱かれ続ける彼女を。

郵便屋さんとして、いつも彼女を見てきた。
いつしか気持ちは幼い頃、真栗を想った気持ちと同じになっていて、

彼女が誰かに抱かれることが我慢出来なくなっていた。


「なぁ、まおら。」
「なに、真栗。」
「お前が男の格好始めたのって、白雪に関係あるんか?」
「……そうだよ。だから、なに。」
「前、告白した。」


その言葉には別に驚かない。
いつからか、真栗が会長じゃなくて白雪ちゃんが好きなことには気付いていたから。
つくづく、僕と真栗は縁があるなぁ、って笑える。


「俺は、白雪が欲しい。」
「…僕もだよ。」
「なぁ、」
「いいよ。」
「……まだ何も言ってないだろ。」
「だいたい、分かるよ。」


何年も幼馴染をやってきたんだから、真栗の言いたいことくらいわかる。
それに、僕も真栗の考えには賛成だし。


「どーせ、白雪ちゃんは二人のモノにしようとかでしょ?僕も、同じこと思ってたし。」
「交渉成立、じゃな。」


“愛”に飢えた彼女に狂おしいほどの愛を。


東宮閑雅Side

彼女と初めて出逢ったのは、雪の降っているある日。
灰音と一緒にいた彼女を、僕はその次の日に無理矢理犯した。
なにも、抵抗はしなかった。

繋がることが嬉しくて、

彼女の中に入れることが幸せで、

彼女の心は手に入らなかったけど、彼女の身体が手に入るなら、それでよかったはずだった。

いつからか、彼女の身体だけでは満足出来なくて、彼女の心も欲した。

ねぇ、僕だけを見て。
僕を欲しがって。

他の誰かじゃない、僕だけを愛して。

白雪の全てを僕にちょうだい。


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